研究概要 |
抗糖尿病作用,抗炎症作用,強壮作用が伝承されている生薬について,種々の薬理試験を実施し,活性のあった生薬からサポニン成分の単離と構造解明を行うとともに,一部のサポニンについてはサポニン構造と薬理活性の相関を明らかにし,作用機序の解析を実施した. ニガウリ(Momordica charantia,果実)の抗糖尿病作用成分について研究を実施し,その過程で5種の新規cucurbitan型トリテルペンおよび10種の新規サポニンの化学構造を明らかにした.ブラジル産ロベイラ(Solanaum lycocarpum,果実)から主ステロイドアルカロイドサポニンに胃粘膜保護作用および糖負荷後の血糖値上昇抑制作用を見出し,その作用機序に関する知見を得た.タイ産ヤシ(Borassus flabellifera,花部)および主要成分dioscinに血糖値上昇抑制作用を見出すとともに6種の新規スピロスタン型ステロイドサポニンの絶対配置を含めた化学構造を明らかにした.エジプト産コロシント(Citrullus colocynthis,果実)の潟下成分および抗アレルギー成分としてcucurbitacin Eおよびその配糖体を明らかにするとともに,2種の新規cucurbitan型トリテルペンサポニンを明らかにした.人参花から得られたginsenoside類の新規機能性について検討するとともに17種の新規ダンマラン型トリテルペンサポニンを単離・構造決定した.デイジーフラワー(Bellis perennis,花部)や茶花(Camellia sinensis,花部)からperennisaponin類やfloratheasaponin類,chakasaponin類の構造を明らかにするともに,それらに脂質吸収抑制作用などを明らかにした.また,それらの作用機序として,膵リパーゼ阻害活性や胃排出能抑制作用が関与していることを明らかにした.
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