研究課題/領域番号 |
18520001
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
直江 清隆 東北大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (30312169)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,830千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 330千円)
2007年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 人工物の政治 / 技術のナラティブ / 設計の哲学 / 設計の倫理 / 人工物の政治性 / 副次的効果 / 組織の倫理学 / 人工物 / 副次的結果 / 設計者の誤謬 |
研究概要 |
技術の哲学・倫理学は、近年、「経験論的転回」と呼ばれる転換を経て、従来の本質主義的、技術決定論的な把握から、技術を人間の活動を媒介し、新たな意味を付与する働きとみなす視点を切り開いた。本研究は、この動向に依拠しつつ、人間と人工物及び人工物を含む環境との関わりに対する現象学的な解明をもとに、技術が状況のなかで、また歴史的・社会的文脈に応じて示す、柔軟かつ多義的なあり方に即した倫理を明らかにした。 また、技術に関わる実践的問題に関して、科学技術社会論でいわれる、技術者の行動に注目する<ミクロ>、組織や文化に注目する<メゾ>、技術と社会のダイナミックスに注目する<マクロ>の各次元の区分に対し、それぞれの次元を関係づける基礎構造に着目した。具体的には、文化的次元を基軸として、これらを身体的な熟練にみられる技術の身体論的次元、どの技術が望まれるかに関する社会的な関連性体系などとして捉え返すなかで、技術における<ミクロ>の次元と、技術に関わる組織の責任、社会的文脈における技術の意味などの<メゾ>、<マクロ>の次元の媒介構造を解明した。 本研究では、さらに、人工物を媒介項としての人間-人間の相互行為や、そこに内在する実践的、倫理的契機を明らかにするべく、技術に関わる問題のうちでもとりわけ人工物の設計の問題を取り上げ、一種の語り(ナラティブ)として捉える視点に立って、経験研究と共同して技術に織り込まれた実践的構造の解明を試みた。技術を成り立たせ、また変革するのが、設計者の論理とともに、受容側の論理でもあることにもとづき、技術の解釈学的、ナラティブ論的なありかたを具体的に提示するなかで技術の総体としてのあり方を問い、そのなかで広い意味での「技術の倫理」に対する基礎が与えられることを示した。
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