研究課題/領域番号 |
18520007
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
頼住 光子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (90212315)
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研究分担者 |
高島 元洋 お茶の水女子大学, 大学院, 教授 (90127770)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
3,340千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 540千円)
2008年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2007年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 道元 / 親鸞 / 正法眼蔵 / 教行信証 / 仏性 / 悪 / 存在論 / 大乗仏教 / 東アジア仏教史 / 空 / 『正法眼蔵』 / 日本倫理思想史 / 仏教哲学 / 縁起 |
研究概要 |
本研究は、日本の思想書の中でも難解をもって知られている『正法眼蔵』の正確な読解を某盤として、道元の思想の全体像を解明しようとするものである。その際、道元の思想の根幹にある存在論を、自己概念や、世界観と関連させて明らかにすることによって、道元の思想の構造を総体として提示した。特に、大乗仏教で重視された「仏性」を手掛かりとして解明を行った。その際、道元の存在、自己、世界に対する把握の某底をなす「空-縁起」に着目し、それを表現する文体に焦点をあてて検討した。 さらに、道元の存在把握から、存在の理法としてどのような当為、すなわち倫理が導き出されるかについても検討課題とした。特に「善悪」「因果」をめぐる道元の独自の思想を『正法眼蔵』の記述を手掛かりとして明らかにした。 また、道元の存在論の日本倫理思想史上、東アジア仏教思想史上での独自性はどこにあるのかという問題についても解明をはかった。その際、前述の「仏性」を手掛かりとして考えた。そして、道元の仏性理解が、インドから東アジアへと展開する仏性観のある傾向性に対するアンティテーゼでもあることを解明し得た。道元の仏性観に対するこのような観点からの研究は従来行われておらず、宗学を離れたより広い視野からの道元研究という点で意義があるものと思われる。 比較思想的な解明としては、道元と親鸞との比較研究を、「悪」の理解、「仏性」観という観点から行った。その結果、道元と親鸞の「悪」に対する考え方も、「仏性」に対する考え方も、それぞれ思想的背景は異にしつつ大枠においては同じ方向をめざしており、また、それぞれが仮想敵とした相手が、仏教思想がややもすると陥りがちな実体化傾向であったことを指摘した。これらを通じて、親鸞と道元との共通性を明らかにし、それが大乗仏教思想の透徹した理解に基づくことを示した。親鸞と道元の大乗思想家という観点からの比較、また、仏教思想史上の位置づけという観点からの比較はこれまでほとんど行われておらず、その意味で、本研究は、日本の仏教思想の意義を解明する上で一定の貢献をなしたといえよう。 また、道元の「悪」についての研究に関連して、日常的世界における「悪」と宗教的世界における「悪」との関係について検討した。さらに、検討の前提として、道徳と宗教との関連について、日本思想史に即して解明をはかった。
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