研究課題/領域番号 |
18520030
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 東亜大学 |
研究代表者 |
上原 雅文 東亜大学, 人間科学部, 教授 (30330723)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 300千円)
2008年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2007年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2006年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 山王神道 / 神 / 仏 / 神仏習合 / 景観 / 物語 / 仏法 / 神道 / 密教 / もの神 / たま神 |
研究概要 |
まず神と仏の概念及びそれぞれの受容における知の様態について明らかにした。神は、存在を存在たらしめている自然の根源的な威力であり、意識からすれば外部の存在である。人々は、神との融合を求めて儀礼や物語を生み出した。そこに見られるのは、神の威力を部分的に取り込み融合するというプロセスであり、神との出会いの全的な一回性は、部分的な反復性へと変容する。そして感覚も変容し、神の痕跡としての具体的事物・事象の感得が可能になる。そのプロセスで働いている知は、具体的な諸事物・諸事象が時間の中で変容して現存するという語りの様式を持つ、時間的・物語的な知である。聖地の景観も、そこでの神との出会いが物語られることによって意味づけられている。 仏は絶対知を体得した者の意である。その理解においては具体性を欠くにもかかわらず、多くの日本人の理想となった。そして、日本人は、自身の身体を含め、儀礼の道具、経典における文字、読経の音、そして景観など、具体的な諸事物・諸事象の中に、仏の存在に対する実感を求めて、仏という存在を理解しようとしたと言える。このような、具体的な諸事物・諸事象の中に仏の実感を求める知の様態は、上述した神と人との関係様式と類似する。 以上の考察ともに、『耀天記』『渓嵐捨葉集』『山家要略記』等の山王神道に関する諸文献を詳細に読み解くことと日吉神社などの実地調査によって、山王神道における神仏関係思想を原理的に明らかにした。特に、神仏関係思想の構築に当たって働いている物語的・時間的な知の過程、および景観の役割(象徴的・空間的な知の過程)を明らかにした。また、文字や音に関する具体的な知の様態として、象徴的・類似的・比喩的・同音異義的な附会の様式についても、知の原理的な側面から明らかにした。神仏関係思想に見られるこれらの動的な知の様態は、原初的には神信仰において見られるが、仏法の受容と神仏習合過程の中でさらなる展開を見せた。それは、現代にも通じる、具体的な<感情・欲望>と抽象的な<理知>とを関係させる独特の倫理的知の様態でもある。
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