研究課題/領域番号 |
18520093
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美学・美術史
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
高松 晃子 聖徳大学, 人文学部, 教授 (20236350)
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研究分担者 |
照山 顕人 関東学園大学, 経済学部, 准教授 (80237015)
櫻井 雅人 一橋大学, 経済学研究科, 教授 (80016956)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,880千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 180千円)
2007年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 芸術諸学 / 洋楽受容 / スコットランド / 唱歌 / 明治期 / 音楽 / 教科書 |
研究概要 |
本研究は、明治期の日本におけるスコットランド歌謡の受容について、移入のプロセスと音楽語法に関する従来の通説を再検討することを目的に、平成18年度から2年間おこなわれた。その結果を次に列挙する。 (1)レパートリーの種類について。スコットランドの旋律は、明治時代に20種類以上が日本に移入され、そのうち、13種類程度が唱歌の旋律として採用された。これらは、歌詞を変えて25曲程度の異なる唱歌になったが、明治時代にすでに歌われなくなったものも数曲存在する。現在親しまれているスコットランドの旋律は、ほとんど明治時代に出揃っていたことが明らかになった。 (2)レパートリーの内容について。唱歌となったスコットランドの旋律の出典は、ほぼ同定することができた。同じ曲の再録状況を調査した結果、1回きりのものから15回も再録されたものまで、振幅が大きかった。また、同じ旋律の異本を調査した結果、1種類だけのものから10種類もの異なる標題をもつものまで存在した。日本に入ってきた段階で原曲が大きく変えられたものは見当たらなかった。しばしば指摘される逆付点の反転も、出典と思われるアメリカ版において既に行われている。 (3)日本とスコットランドの旋律における音階の親和性について。まず、「ヨナ抜き」の共有を根拠に、日本とスコットランドの旋律の類似性を指摘する言説を可能な限り調査して年代順に整理・分析した結果、明治時代末から現在にかけて、同じような論法が用いられ続けていることがわかった。本研究では、明治10年代の日本人にとってヨナ抜き五音音階は親しみのある音組織でなかったことを導き、それにもかかわらず、その後の展開から過去が再構築された結果、音階の類似がスコットランド歌謡の受容に役立ったとする説が流布していること、日本の五音音階とスコットランドの五音音階が不当に同一視され続けてきたことを指摘した。
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