研究課題/領域番号 |
18520122
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本文学
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
稲田 篤信 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (20168404)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,910千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 210千円)
2007年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 明清漢籍 / 和刻本 / 書学書 / 拙古堂日纂 / 董其昌 / 王寵 / 西田嘉兵衛 / 森川竹窓 / 上方人文社会 / 準漢籍 / 大坂本屋仲間記録 / 平賀晋民 / 雨粟余情 |
研究概要 |
本研究は近世中期に舶載が確認される明清の漢籍(明版と清版)の内、上方において出版された和刻本を取り上げ、明清漢籍の原本、舶載記録、出願記録、稿本、和刻本を相互に対照して、翻刻や校訂、出版の経緯、関係者の関与のありかたについて考察したものである。 特に『寄園寄所寄』などの随筆、『江邨錆夏録』・『清河書画肪』などの書学書、『春秋左氏伝評林』などの史書、『隷続』などの金石学書、『隷弁』・『字貫』・『康煕字典』などの字書、『朱子語類』・『宋学士全集』・『容台集』などの文集を取り上げて重点的な調査を行った。書目の選定にあたっては、明清漢籍について質量ともに有益な情報をもつ大坂の儒者奥田松斎の読書ノート『拙古堂日纂』(『拙古堂雑抄』)を参考にした。調査は関西地区を中心に実施したが、特に奉納本を収蔵する大阪住吉大社御文庫のような存在に留意すべきであるとの認識をもった。 本研究では、こうした明清漢籍に旺盛な関心を示し、本邦に紹介するなど、積極的な受容に関わった人々、すなわち和刻本の校訂を担当した木村兼葭堂、奥田松斎、明人書跡及び書学の摂取に貢献した曽之唯、新興蒙所、都賀庭鐘、岳玉淵、森川竹窓、漢籍の購入者であった西田嘉兵衛、版元であった河内屋吉兵衛などについて考察を加えた。近世期文人が影響を受けた、明清書学書、董其昌や王寵など明人書家の受容についても新見を加えた。 以上の本と人とその関わりは、民間需要といっても必ずしも日用常備の実用に役立つわけではない学問教養の分野におけるものである。ここにおいて、上方人文社会は敏感に明清文化を受容し、高度な知的風土を形成している。今日的意義を失わない業績すらある。コスト面一つをとってみても、官版や藩版とはまた異なる民間の知識層の動向として注目すべきものと思われる。 成果は雑誌論文等個別に発表した論文を中心に報告集にまとめた。
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