研究課題
基盤研究(C)
平成18年度〜平成19年度、研究実施計画の通りに関係文献の収集、日本国内現有の華文文学関係資料に関する調査、中国での現地調査などを行うことにより、以下のような研究の目的を達成することができた。(1)日本では1987年末高行健が中国を離れた後の創作活動、つまり中国作家としてではなく、中国語を使わない異国で敢えて母語である中国語による作品を意欲的に発表し続けている華文作家としての高行健の文芸的営為に関する本格的な研究が行われておらず、高行健研究における空白の状態が続いている。科学研究費補助金の交付を受けて行った「華文作家としての高行健」という研究によって、この空白を埋めることができた。(2)2000年10月、高行健は中国系作家として初めてのノーベル文学賞を受賞した。欧州やアジアにおいて高行健に関する紹介(翻訳も含めて)と論評が数多く行われているにもかかわらず、その本家本元である中国では高の作品は発売禁止のままである。しかし、彼の創作に対する評論活動は皆無でもないようだ。科研費による中国での現地調査を通じて、中国における高行健研究の実態の解明を進めることができ、その成果を単著論文「中国における高行健研究」にまとめた。中国での高行健研究という視点による論考が世界的にも少なく、そういう意味では意義があり、重要性もあったといえよう。(3)中国大陸、台湾、アメリカ等における華文文学研究は周知の通りであるが、日本でのそれはあまり知られていない。日本での華文文学研究の成果を国際社会に発信すべく、中国語による論文「日本的華文文学研究-以《境外的文化-環太平洋的華人文学》為中心」を中国の学術雑誌に発表し、この目標をも達成した。
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滋賀大学教育学部紀要(人文科学・社会科学) 第57号
ページ: 11-25
110006867328
Memoirs of The Faculty of Education Shiga University No.57
杭州師範学院学報(社会科学版) 第29巻第4期
ページ: 113-117
JOURNAL OF HANGZHOU TEACHERS COLLEGE SOCIAL SCIENCES EDITION VOL. 29, NO. 4
Toho-shoten
ページ: 881-904