研究概要 |
平成18・19年度の2年間に,世界各地の研究期間に散在する未発表・未解読のソグド語文書について,存在を確認することと,それらの内容について初歩的な解読を行うことを目的として,科学研究費を申請した.そして予定通り,ベルリンとサンクト・ペテルブルグにある資料(ソグド文字表記のソグド語文書)については,未発表の文書の初歩的解読を終えた.ベルリンの資料はインターネットで公開されている写真から解読したが,ロシアの文書については,現地に赴きロシア科学アカデミー東方学研究所の文書室で調査した.またこの間に中国吐魯番と日本で新たに発見された資料を調査する機会を得た・中国の文書は既に英文と日本文で解読を発表している.別に吐魯番市の博物館に未発表の碑文が,ソグド語であると認識されないまま保管されていることを確認し,一応の解読を終えたた.日本の資料は,大谷探検隊の一隊員が持ち帰った断片類で,資料を保管管理する龍谷大学のスタッフと協力して,カタログを作成した.それとは別に,わずか2日間ではあったが,中国旅順市の旅順博物館が所蔵するソグド語文書の調査をすることができた.これは大谷探検隊将来資料の一部である.そして同博物館,大谷探検隊の資料を包括的に扱っている龍谷大学のスタッフと共同で研究する計画が発案され,私自身もその計画に参加している.一つ残念なことは,同様に大谷探検隊の資料を保管するソウル博物館のソグド文字木簡について,ソウルまで行って原物を調査したものの,木簡表面の痛みが激しくて文字を読み取れなかったことである.これは今後の課題として残った.
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