研究課題/領域番号 |
18520363
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本語学
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研究機関 | 文京学院大学 |
研究代表者 |
鈴木 豊 文京学院大学, 外国語学部, 教授 (70216456)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2008
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研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
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配分額 *注記 |
1,450千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 150千円)
2008年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2007年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2006年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 日本語史 / 連濁 / 連用名詞 / 非連濁規則 / 後部成素 / 類推 / 連濁現象 / ライマン / 「姫考」 / 『古事記』 / ライマンの法則 / 連濁の起源 |
研究概要 |
この研究は連濁現象について総合的・歴史的に行おうとするものである。連濁研究はすでに相当数の蓄積があり、連濁に関する条件も様々なものが指摘されている。しかし、特に現代語の連濁を説明するのに十分な規則を立てられないといわれるがそれはどうしてだろうか。本研究では先行研究を参照しつつ、連濁現象の歴史的変遷を、どのような連濁・非連濁規則が存在し、どのように適用されたかという観点から跡づけた。研究目的達成のために以下の手順を取った。 1)「連濁研究文献目録」を作成する。2)「連濁・非連濁規則一覧」を作成する。3)研究者間で異なる術語の名称・定義・用法について検討する。4)2)・3)に基づき詳細に研究史を記述し、未解決の問題点を整理する。5)連濁・非連濁規則の適用される時代、範囲、規則間の適応順序について検討を加える。6)連濁史を記述する。 1)については発表済みの連濁関係文献目録(鈴木豊(2006))を増補し、2)については鈴木豊(1993)を増補・改訂を行った。3)について、近代連濁研究以前については鈴木豊(2004)で平安時代以降の「連濁」の異称について検討し、「連濁」の呼称が確立する過程を明らかにした。その他の連濁に関する術語「ライマンの法則」「非連濁」についても検討を進めている。4)については、1)・2)に基づく詳細な研究史の記述を行う予定である。研究史上位置づけが必要な問題として、たとえば「ライマンの法則」に関して以下のような問題が現在に至るまで残されていると考えねばならない。 ○ライマンの法則の定義をたとえば奥村三雄(1980)等は第二音節に濁音がある場合として「第三音節以下もある程度これに準じる」とする。 ○ライマンの法則の基盤を森田武(1977)は単純語中で濁音は連続しないことにあるとする。 ○ライマンの法則の基盤を山口佳紀(1988)は単純語中に濁音は共存しないことにあるとする。 ○上代語に関して石塚龍麿『古言清濁考』に濁音は連続しない=前部成素末の濁音は連濁を妨げるという説があり、時代別国語大辞典上代語概説でもそのことに言及している。 ○鈴木豊(1993)は上代語では前部成素中の濁音は連濁を妨げるとする。 連濁の研究は近年ますます盛んになっているが、研究の蓄積とともに先行研究を十分に参照していない研究も散見するようになった。1)~4)の作業によって連濁研究の見取り図を描いておくことは、連濁研究をさらに進展させるために不可欠であると考える。Martin、大津由紀雄、Vance、Ito&mester などの言語学者による研究もあり、日本語学と言語学の交流も必要である。5)に関しては次項に記す研究を発表した。これらの作業を通じて6)の連濁史の区分の指標となる規則が明確になると考えられる。連濁史の出発点となる上代以前の日本語については人類学・考古学・歴史学・生物学・医学等の分野の最新の研究成果も参照する必要があるだろう。連濁史の記述が、日本語系統論の研究に新たな展開をもたらすと考える。
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