研究概要 |
本研究では,英語リスニング試験の形式や内容について,国内外の代表的なテストを検訂した。具体的には,大学入試センター試験のリスニング問題、東京大学などの独立行政法人(旧国立大学)のリスニング問題、TOEIC(Test of English fo rIntemnational Communication)のリスニング問題,そして韓国の大学入試センター問題ともいえる修学テスト(CSAT)のリスニング問題の形式と内容を検討した。その結果、韓国の問題は、リスニングの目的やリスニングで使用するストラテジーの1つ1つについて、1つのパヅセージを絞り、リスニングにおけるどの技能やストラテジーができているのか、どれができていないのかを明確に測定できるように工夫され、構成されていることがわかった。テスト形式と内容の違いによって、学習者のリスニング能力の測定結果にどのような違いが見られるかを実証的に調査するため、韓国の問題については、留学生の協力を得て、問題文を日本語に翻訳し、リスニング音声資料は韓国語の部分を削除しなりなどして、日本人学習者が受験できるように編集して実施した。その結果、韓国の問題とTOEICのリスニング・テストの相関係数はr=0.74(p=0.00)のとなり,両者に有意で強い相関があることが明らかになった。また,日本人英語学習者にとっては、韓国のリスニング・テストでの得点の方が、TOEICのリスニング得点よりも、分布としての広がりは小さいが、各学習者ごとのリスニングの強い点や弱い点が明確になり、より診断的な情報が得られるテスト方法であることがわかった。また、海外のリスニング試験事情を、スペインを中心に調査した。スペインの英語教育はまだまだ発展途上であり、韓国のリスニング試験のように洗練されたレベルにはまだ至っていないことがわかった。
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