研究課題
基盤研究(C)
本研究では、中国企業におけるホワイトカラーの昇進要因の現状分析および実証分析をとおして、男女の処遇の違いを検証した。仮説は、「男女間の昇進格差は、非国有セクターの方が国有セクターよりも大きい.」である。当初の計画どおり、労使双方に調査をおこなった。(i)人事担当者を対象にインタビューおよび調査票記入による経営者側の理想と実情のずれを探る調査、および(ii)同一部署(原則)に在籍するすべてのホワイトカラー(事務系従業員)を対象に自記式の調査票を用いた、実情を整理し、分析をおこなうための調査である。調査対象企業の選定にあたり、中国経済を牽引する地域に点在していること、国有・非国有セクターの両所有形態を含むこと、および産業が偏らないこと、上記(i)(ii)が可能なことを条件とした。実際には、2006年7月〜8月、現地の研究者の協力を得て、筆者も同行し、広東省を中心とする珠江デルタ地域に点在する7企業の人事担当者と、当該企業のホワイトカラー従業員272人(実証分析の有効サンプル数206)を対象に調査をおこなった。研究手法は、職位に注目して、日本における一般従業員、係長クラス、課長クラス、部長クラスに分け、昇進要因を、国有セクター、非国有セクター別に検証した。推計モデルは、職位ごとの要因分析をプロビットモデルで、全職位を通じた要因分析を順序プロビットモデルでおこなった。結果として、非国有、国有の両セクターで男女間昇進格差が認められ、部分的にではあるが「男女間の昇進格差は、非国有セクターの方が国有セクターよりも大きい.」という仮説が認められた。申請代表者の博士論文では、経済・社会システムという市場レベル、企業レベル、家庭レベルという3つのレベルからの分析が重要であった。企業レベルの分析である当該研究により、お茶の水女子大学博士号学位論文「中国労働市場のジェンダー分析-経済・社会システムからみた中国都市部女性の就業分析-」(主査:篠塚英子教授)が完成した。
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お茶の水女子大学博士(社会科学)学位論文「中国労働市場のジェンダー分析 -経済・社会システムからみた中国都市部女性の就業行動」 1
ページ: 84-107
Doctoral Dissertation of Social Sciences, Ochanomizu University
ページ: 1-177
『F-GENSジャーナル』お茶の水女子大学 第5号
ページ: 313-323