研究課題
基盤研究(C)
地球環境問題は、企業の経営にとって戦略的な対応が求められる重要な課題となってきた。そこで、本研究では、地球環境に配慮した製品設計について、その意義と現状について採り上げた。特に、わが国自動車産業を採り上げて、地球環境に配慮した技術開発について検討した。その結果、環境技術や地球環境に配慮した製品に関して、多様性と地域性などの点で、世界的な企業であっても、決して圧倒的な技術と製品の開発ができていないという現状が明らかになった。つまり、アメリカやブラジルでは、バイオ・エタノールが大量に生産可能でエタノール車が戦略車となっている。他方、ヨーロッパではディーゼル車が戦略車となっている。これに対して、わが国では、ハイブリット車が戦略車となっている。このような事態を反映して、トヨタ自動車株式会社は、国内のみならず海外の自動車メーカーグループと環境技術について、蜘蛛の巣型の提携を形成している。この蜘蛛の巣型の提携は、市場における競争の行方が不透明である場合に形成されるとされている。このような戦略は、適地、適時そして適車という考え方である。トヨタ自動車株式会社の事例は、これまでの環境経営が企業の組織内の環境問題に焦点を当てていた点と異なるものである。開かれた企業間関係に基づく地球環境に配慮した技術・製品の開発は、効率性というだけでなく、戦略性の強いものである。つまり、環境変化に対する経営資源の最適化という戦略行動そのものと考えられるのである。
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経営力創成研究 第2号
ページ: 73-84
Journal of Creative Management.(Research Center for Creative Management, Toyo University) No. 2
120005274392