研究課題
基盤研究(C)
S県K市を調査フィールドにし平成12年より諸調査を実施してきたが、この間に子育て支援では既存システムが提供する親子あそび等のプログラムに<出向いてくる>、所得の高い層の健康度の高い子どもと家族の育児不安解消にはある程度機能していた。一方、児童虐待のうち生命確保のためのリスク介入部分では、児童相談所を中心として市児童福祉課、保健所等の既存システムネットワークがある程度機能してきた。しかし、これまでの調査結果を基礎に見えてきているのが、(1)所得の低い若年家族層(保育所利用者に多い)の家族支援、(2)障害児や親の慢性疾患等重複した課題をもっハイリスク家族(すでに福祉施設、病院などの治療・教育・指導を受けている)への支援、(3)虐待が発見された後の再発防止過と回復過程への家族支援など既存のシステムの機関や組織では、不十分か、提供されていないこと、専門職や市民の連携のあり方に課題があることである。既存システムでは、システム機能の制約と人材力量不足から孤立しがちがで、弱くなった現代家族の支援にまで手が回らず、家族にとってはかえって負担やストレスを増すような関わりするだけで、子どもと家族の問題の重度化を防ぐ、発見機能、予防的機能、無理のない回復過程機能、再発防止機能につながっていない。今回は、<出向いて来ない家族>に家庭訪問をし、アウトリーチ型サービスを届けるパイロット研究とそのために必要な研修を実施した結果、(1)既存支援システム(保健・医療、福祉、教育、司法等)は、家族が機関へ<出向くこと>だけを想定し成り立ってきた分、現代家族に対し機能の限界があること、(2)家族支援に対し共通認識をもったうえで支援ネットワークを組む視点が既存支援システムのネットワーク、連携強化に役立つことが明確になった。
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大正大学大学院研究論集 第32号
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鴨台社会福祉学論集 第17号
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