研究概要 |
本研究は,(1)ADHDの子どもの書字行動の獲得における阻害要因(障害特性や認知特性)を行動的翻訳し,書字行動獲得のための教材を開発する,(2)その教材を提供するための指導法として,ADHD児を対象とした個別式「e-支援」システムを開発する,(3)「e-支援」の実践的研究から教材開発の適切さを検証することを目的としていた。ADHDの子どもが,画の「長さ」,画の「方向」,書き順,画の「つき方・交わり方」,画と画の間,文字の「中心」,偏と旁の関係,「とめ」,「はね」など,調査したすべての項目において漢字の書字の評価が低く,また,環境要因として特別支援学校や特別支援学級での担任の経験がない教師のほうがこれらの項目に対して厳しい評価をもとめることが明らかとなった。 これらの調査結果から,これらの阻害要因を必要としない構成見本合わせ課題に基づく個別式「e-支援」システムを開発し試験運用ができるまでになった。また,小学校5年生から中学校3年生までの小中学生を対象とした実践的研究から教材開発の有効性を明らかにすることができた。
|