研究概要 |
本年度の研究成果は,次の5点である。 (1)日本と韓国の歴史教育担当教員の歴史意識や歴史教育の内容と方法についてアンケート調査を実施した。その結果,次の歴史教育実践上の諸課題を明らかにした。 (1)日本の歴史教育担当教師の方が,受験学力を意識し,歴史的事象を覚えさせる学習を重視している。 (2)韓国の歴史教育担当者の方が,歴史の特性や歴史を学ぶ意義を大切にして,歴史教育実践に取り組んでいる。 (2)歴史学の研究成果と日韓学生の歴史意識・歴史認識の実態を踏まえた日韓歴史教科書叙述の比較検討をした。検討箇所は,古代史全般から近現代史まで行った。この研究成果については,研究報告書及び出版物にて公表する予定。 (3)韓国において歴史的史跡の現地調査と博物館(資料館)等での資料収集を行い,教材開発のための基礎的調査を行った。 (4)(1)〜(3)までの研究成果を受け,日韓の相互理解をめざした授業計画書を立案し,日本の中学校において授業実践を行った。その結果,「(1)生徒に歴史は多角的な視座からとらえる必要があることを具体的な学習活動を通じて学ばせること。(2)日本と韓国の現在と過去を取り結ぶことの意義について学ぶ場を設定すること」を講じることが,日韓相互理解のための歴史教育実践では有効であるという手応えを得た。 (5)平成19年度の研究成果の公表 平成20年2月に大宮で日韓歴史教育シンポジウムを開催した。2年間の研究成果を総括すると共に,今後の研究の見通しを確認した。今後については,これまで以上に「臨床」と「協働」に研究の重点を置く必要があることが確認された。その他,2年間の研究成果を研究報告書及び各種研究出版物として公表した。
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