研究概要 |
構造系を持つ全行列多元環に関して得られた研究成果は、以下の1と2に要約できる。 1. 一般の構造系に対して、(0,1)-極限を導入した。全行列多元環のサイズn=3の場合は、任意の構造系を持つ全行列多元環はその(0,1)-極限に同型で同型類は5個。n〓4の場合は、同じ(0,1)-極限を持つが非同型なFrobenius全行列多元環の無限系列を構成。一般の構造系を持つ全行列多元環がFrobenius多元環であることは、その(0,1)-極限がFrobenius多元環であることと同値など、(0,1)-極限は一般の構造系を持つ全行列多元環を研究する有効な手段である。また構造系を代数多様体とみなし、群軌道で全行列多元環の同型類を捉えることができた。 2.離散付値環上のタイル整環に関して「大局次元有限ならばneat原始ベキ等元を持つ」という予想(Fujita, J. Algebra(2002))があった。この度、この予想に反例が見つかった。当該研究の出発点はこの予想解決のための道具作りであったが、この様に解決することは予想外であった。また、この例は構造系を持つ全行列多元環の研究に、基礎体の標数が関与することを示す重要な例にもなる。
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