研究概要 |
本研究課題の「研究目的」の一つとして述べた「コンパクト可解多様体でその上に左不変でない複素構造を許容するものは存在するか」という問題に対して,「6次元コンパクト可解多様体でその上に左不変でない複素変形の族を持つものが存在する」ことを示すことが出来ました.また、単連結複素3次元可解Lie群とそれらの離散部分群(lattice)をすべて決定するかたちで「複素3次元コンパクト複素可解多様体の分類」を行ない,その一つの応用として,複素3次元コンパクト複素可解多様体で擬ケーラー構造(pseudo-Kaehler)を持つものを決定することが出来ました.これらの研究成果は[Complex moduli and pseudo-Kaehler structures on three-dimensional compact complex solvmanifolds, Electro. Res. Ann.Math. Sci., 14(2007), 30-34]おいて研究報告しました.また,平成19年3月の日本数学会年会幾何学分科会特別講演の講義ノートに基づく論文(Survey Article)[Complex and Kaehler Structures on Compact Homogeneous Manifolds-Existence, Classification and Moduli Problems, To appear in Advanced Studies in Pure Mathematics]を執筆しました. 本研究課題の「研究実施計画」に基づく主な研究活動として,研究分担者の関川浩永氏・吉原久夫氏の協力のもとで,研究集会「複素幾何学と群作用」(平成19年6月28日〜30日,新潟市)を開催することが出来ました.この研究会の報告書は,冊子としてだけでなく,Web上にも公開しました.この研究会を通して本研究課題に関する研究がより活発になり研究者の連携の輪を広げることが出来たと確信しています
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