研究概要 |
本研究において微分作用素の固有値問題の固有値に関する研究及び部分多様体の幾何学に関する研究を軸にすえて,これに関わる研究課題を様々な手法で手がけることを目的とした。(1)50年前にPayne,Polya,Weinbergerらに提案された張り詰められた状態でのプレートにおけるBuckling問題の固有値の普遍不等式に関する難問に対して,新しい研究方法で"nice"試験関数を構成し,この難問を解決した。固有値の研究に重大な貢献を与えた。(2)双調和微分作用素のDirichlet固有値問題の固有値に対する普遍不等式に関する研究について,1999年Ashbaughに提案された問題を解決した。(3)複素射影空間上の領域,複素射影空間内の複素部分多様体におけるLaplace微分作用素のDirichlet固有値問題の固有値に対する普遍不等式に関する研究について最適な評価を得た。(4)n次元Euclid空間内の有界領域におけるLaplace作用素のDirichlet固有値問題の第k番目固有値に対する上限の研究は難しくて,研究成果は殆どなかった。我々は先ず代数的な漸化式を創造し,この漸化式を使って,Weylの漸近式を精密化し,第k番目固有値に対する上限を与えた。kの位数の意味で最適であることもわかった。(5)完備なリーマン多様体の有界領域におけるLaplace作用素のDirichlet固有値問題の固有値に関する普遍不等式の研究について,我々はNashの定理を利用し,試験関数を構成することが成功し,完備なリーマン多様体内の有界領域におけるLaplace作用素のDirichlet固有値問題の固有値に関する普遍不等式を得た。我々の不等式は最適であることも分かった。(6)単位球面内のMobiusスカラー曲率一定のコンパクト部分多様体に関するpinching問題を研究し,最適なpinching条件を得た。更にこのような部分多様体を分類した。(7)単位球面内のスカラー曲率が一定のコンパクトな超曲面におけるヤコビ作用素の第1固有値を評価し、最適な上限を与えた。
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