研究概要 |
本研究は主に三つの立場で安定ホモトピーSeiberg-Witten不変量とその周辺問題を考察している.第一は安定ホモトピー論の立場による不変量の性質の考察,第二はこの不変量の幾何的な解釈,第三はゲージ理論を離れて指数定理に関連する問題である. 第一については,南範彦氏(名古屋工業大学)などとの共同研究により,連結和に対する安定ホモトピーSeiberg-Witten不変量の消滅定理などを得た.これは既に共同研究で得ている連結和に対する非消滅定理と対照的であり,不変量としてのある種の限界点があることを示している.第二については,スピン4次元閉多様体上のSeiberg-Witten方程式の解空間には自然に同変スピン構造が入り,それから10/8-不等式を自然に導くことができることを示した.更に,既に得られていた10/8-不等式の1次元コホモロジー群上の積構造を加味した場合の改良についてもこの同変スピン構造を平坦接続のモジュライ空間上で考察することにより再証明できることを示した.第三については,研究分担者からGuillemin-Sternber予想を指数の局所化の観点から再証明を与えたという報告を受けた.これはゲージ理論と直接的に関連してはいないが,モジュライ空間におけるこのような考察がゲージ理論の展開へとつながることを期待している.
|