研究概要 |
多次元ブラウン運動の正値連続加法的汎関数(PCAF)をブラウン運動の超関数の枠組みで研究した。 1.多次元ブラウン運動のPCAFをブラウン運動の超関数として定義した。従来の研究におけるPCAFの特性量としてのcharacteristicやRevuz測度がこの場合にも適切に定義され,これらを通じて多次元ブラウン運動のPCAFの構造が明らかとなることを示した。 (1)多次元ブラウン運動のPCAFをブラウン運動の超関数としてとらえ,局所時間とRevuz測度による表現を与えた。 (2)Radon測度から構成されるPCAFのRevuz測度と元のRadon測度との同一性,ならびにPCAFのRevuz測度から構成される汎関数と元のPCAFとの同一性を示した。 (3)Radon測度から構成されるPCAFの属するソボレフ空間のクラスとRadon測度のみたす可積分条件との対応について結果を得た。この結果を用いて3次元以下のSierpinski gasket上の一様測度に対応するPCAFは2乗可積分であることを示した。 2.Riesz核に対応するPCAFについて考察を加えた。 (1)γ次のRiesz核に対応するPCAF(γ次Riesz PCAF)を構成し,この汎関数に関する占有時間公式を導いた。あわせて空間パラメータに関する1次平均収束の意味での連続性を示した。 (2)1次元ブラウン運動に対してT. Yamadaにより得られた結果の多次元への拡張として,γ次Riesz PCAFの現れる極限定理を示した。 (3)局所時間に対するγ次のRieszポテンシャルとしてγ次Riesz PCAFが得られること,およびγ次Riesz PCAFのγ階微分が局所時間となることを明らかにした。
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