研究概要 |
(1)Sharp triangle inequality(n元)とその逆不等式を示し,等号成立条件を与えた。また,さらにこの不等式を精密化するとともに,平均を用いたパラメーター付きの不等式への拡張について知見を得た。Sharp triangle inequalityは発表と同時に国内外で注目を集め,すでに主要な国際誌等にその拡張や一般化が数編発表されている。 (2)2002年に代表者等が導入したバナッハ空間のψ直和は、凸関数ψを適当にとることによって種々の性質を備えたバナッハ空間の例を比較的容易に構成することができる点で興味深く、発表以来、多くの注目を集め、国内外ですでにかなりの研究が為されている。本研究では,特にψ直和のweak nearly uniform smoothness,WORTH property,Schur property,uniform non-[ell]^n_1性等について一連の結果を得た。とくに[ell]_1直和のuniform non-[ell]^n_1性を特徴付けた。また[ell]_∞直和のuniform non-[ell]^n_1性について知見を得た。応用としてuniform non-squareでないが不動点性を持つuniform non-[ell]^3_1な空間を構成した。 (3)Von Neumann-Jordan定数James定数の概念を拡張した定数を考察し,uniform non-square性,一様正規構造などについて一連の知見を得た。またnearly uniform smothnessのweak modulusについて一定の結果を得た。 (4)2007年7月,Harbin(中国)における"International Workshop on Banach space,Operator Theory and Applications to Nonlinear Analysis"で招待講演及び大学院生のための特別講演を行い,ψ直和に関する最新の成果を紹介した。2006年9月,「Second International Symposium on Banach and Function Spaces 2006」を開催し,2008年にProceedings,"Banach and Function spaces II"(pp.467,横浜図書)を出版した。
|