研究概要 |
Stein空問における有理型凸性に関連して,阿部誠は次の成果を得た。 (1)Stein多様体X内の単連結な有理型凸開集合Dが強い円板的性質をもつことを証明するとともに,C^nの開集合の多項式凸性に関するBremermann(1958)の問題も否定的に解決した。 (2)具体的な例を与えることにより,n≧2のとき,C^nの有理凸開集合Dは,C^nにおいて必ずしも強い有理型近似性質をもつわけではないことを証明した。一方,1次元被約Stein空間Xについて,Xの任意の開集合DがXにおいて強い有理型近似性質をもつことを証明した。 (3)必ずしも被約でないCohen-Macaulay Stein空間内の開集合の局所Stein性を考察することにより,n次元Stein多様体Xの開集合Dが、条件dim H^k(D,O)<+∞(2≦k≦n-1)をみたすとき,DのStein性を標準的な写像Div(D)→Pic(D)の全射性などによって特徴付けた。 (4)被約Stein空間Xにおいて,Picard群Pic(X)の部分半群Gに関する一般化された有理型近似定理を証明することにより,Hirschowitz(1971)とAbe(2005)による異なるふたつの有理型近似定理を統合した。 また,島唯史は,古島幹雄・大嶋康裕と共同で,次の成果を得た。 (5)Gを2次一般線形群GL(2,C)の小型有限部分群とするとき,商空間C^2/Gの極小正規解析的コンパクト化における境界の重みつき双対グラフの分類に関して,最後に残されたG=D(2面体群)の場合を考察し,分類を完成させた。
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