研究課題
基盤研究(C)
現在リチウムイオン2次電池正極材料として主にリチウム遷移金属酸化物の一つであるコバルト酸リチウムがいられているが、その代替物質の開発が求められている。機械的加工力を利用するメカニカルミリング(MM)法により、リチウムなどの典型的な可動イオンを含む化合物の構造制御を行うことで、新たな固体電解質の創出や既存物質の改質を行い、そのイオン拡散状態の変化についての新しい知見を得た。コバルト酸リチウムにおけるMM法による粉砕効果は、その粉砕条件により異なり、短時間の試料粉砕により試料内部に導入された欠陥濃度が小さければ、その欠陥を通じたリチウムイオン拡散は促進される。一方、長時間にわたる粉砕では過剰な欠陥導入により長距離にわたる拡散経路が分断され、イオン拡散が阻害される。また、核磁気共鳴スペクトルの変化から、試料砕によりコバルト原子の電子状態・磁気状態が大きく変化することが明らかになった。圧電性物質であるニオブ酸リチウムにおけるMM法による粉砕は、結晶構造の変化を引き起こし、リチウム格子を形成するリチウムの内数%から10%程度のリチウムが室温から約0.3eVの小さな活性化エネルギーをもつ高速イオン拡散状態にあることが明らかになった。2パルスフォノンエコー測定装置を整備し、圧電性物質である二酸化ケイ素のフォノンエコー測定を行った。二化ケイ素の室温以上の緩和時間は温度によらず一定であり、このことから二酸化ケイ素は他物質との接触作用によるエネルギー散逸にともなうフォノンエコー緩和時間の変化を検出するための標準物質になりえると考えられる。ニオブ酸リチウム微粒子を混合した二酸化ケイ素のフォノンエコーは微粒子混合により信号強度の減少を引き起こし、測定が困難となった。水分を含んだ微粒子が二酸化ケイ素の粒子間に入り込み、二酸化ケイ素の自由振動を阻害したことによると考えられたが、高温でのフォノンエコー測定から信号減衰が自由振動の阻害だけに依らないことがわかった。
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Journal of the Physical Society of Japan 77
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