研究課題/領域番号 |
18540342
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
浅井 吉蔵 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (00109795)
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研究分担者 |
阿部 浩二 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (20183139)
小林 義彦 電気通信大学, 電気通信学部, 助教 (60293122)
佐藤 桂輔 電気通信大学, 株式会社富士通研究所, 研究員 (10418212)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,830千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 330千円)
2007年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2006年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 強磁性・強誘電体 / マルチフェロイック / 電気磁気効果 / 複合ペロブスカイト / 超交換相互作用 / 超微細磁場 / 核磁気共鳴 / Maxwell-Wagnerモデル / 強磁性強誘電体 / <55>^Mn NMR |
研究概要 |
本研究は、強磁性複合ペロブスカイトLa_<1-x>Bi_xMn_<0.5>Ni_<0.5>O_3を対象に(1)結晶構造と磁性・誘電特性を明らかにし、(2)誘電性を担う酸素とBiの共有結合と強磁性を担う酸素と遷移金属イオンの共有結合の競合を^<55>Mn NMRにより定量的に調べ、(3)電気磁気効果とその出現機構を解明することを目的とした。その結果、(1)については、La_<1-x>Bi_xMn_<0.5>Ni_<0.5>O_3がx≦0.9でsol-gel法により常圧合成が可能であり、Bi導入により誘電率が増大するが強磁性転移温度は低下することを明らかにした。(2)については、REMn_<0.5>(Ni_<1-x>Mg_x)_<0.5>O_3(RE=希土類元素)を対象とした研究で、Mn^<4+>とNi^<2+>の複合ペロブスカイトでは^<55>Mnの超微細磁場からMn^<4+>-O^<2->-Ni^<2+>の共有結合性の大きさに関する情報f(RE)が得られ、結合角の情報と合わせるとMn^<4+>とNi^<2+>間の超交換相互作用を説明できる事を明らかにした。更に、La_<1-x>Bi_xMn_<0.5>Ni_<0.5>O_3の^<55>Mn NMRにより、Biの導入によりMn^<4+>-O^<2->-Ni^<2+>の共有結合性パラメータf'(x)が減少すること、またxの増加によるT<CM>の低下もf'(x)の減少によることを明らかにした。その機構は、Bi^<3+>-O^<2->結合はLa^<3+>-O^<2->結合より共有結合性が強いために多くの酸素2p電子を引き寄せる結果、Bi近傍ではMn^<4+>-O^<2->-Ni^<2+>結合に使えるO^<2->電子が減少し、その共有結合性が低下することによる。この系の強磁性の起源はMn^<4+>-O^<2->-Ni^<2+>の共有結合による正の超交換相互作用であり、誘電性の起源はBi^<3+>-O^<2->間の共有結合によるBiの6s電子の分極であるので、この系においては(Mn^<4+>,Ni^<2+>)とBi^<3+>がO^<2->との共有結合を競合することで、強磁性と誘電性が競合すると考えられる。(3)については、誘電率の大きいx≧0.5の試料においてT_<CM>付近で誘電率が9Tの磁場中で数%増大することを観測した。この増大は、試料が一様ではなく、高抵抗高誘電率の物質がT_<CM>付近で負の磁気抵抗をもつ比較的低抵抗の物質中に分散していることに起因することを明らかにし、Maxwell-Wagnerモデルで定量的に解析した。
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