研究分担者 |
池田 直 岡山大学, 理学部, 教授 (00222894)
下村 晋 慶応義塾大学, 理工学部, 講師 (00260216)
及川 健一 日本原子力研究開発機構, その他, 研究員 (80391332)
森 茂夫 (森 茂芙) 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (20251613)
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研究概要 |
放射光X線回折,中性子回折,および電子線回折による結晶構造解析とメスバウアー分光の与える四重極分裂を相補的に用いる事で,混合原子価酸化物Fe_2BO_4低温相(317K以下)の結晶構造および電荷秩序配列を調べた。主な研究結果を以下の4項目にまとめる。 (1)良質結晶の合成:多結晶試料,中性子回折用の^<11>Bを用いた多結晶試料,およびFZ法により単結晶を合成した。 (2)メスバウアー分光による電荷秩序配列および磁気構造の評価;Fe核の感じる四重極分裂により電荷秩序配列を検討した。既存モデルでは測定値を説明出来ず,電荷秩序配列パターン,あるいは構造パラメーターに問題がある事が分かった。また,低温・磁場中での測定により,磁気モーメントの向きを調べた。キャント磁性,あるいはらせん磁性と考えられる。 (3)多結晶粉末を用いた回折実験:放射光X線回折では,超格子反射は見つからなかったが,室温から転移点近傍で格子定数の温度変化に異常を見いだした。一方,中性子回折では,超格子反射と思われる弱い反射が観測され,α軸方向に2倍周期を持った空間群を仮定して構造解析を行った。その結果,平均ボンド距離の違いにより,電荷秩序配列を示唆する結果が得られた。更に,酸素の熱振動因子がα軸方向に伸びた形である事も判明した。 (4)単結晶試料の電子顕微鏡観察:室温においてα軸方向への2倍周期を示す超格子反射が明瞭に観察され,温度上昇に伴い,その超格子構造が不整合構造になり,その後消失する事が判明した。 今後は,空間群の決定,電荷秩序配列パターンの決定を行うことがテーマとなる。また,磁気構造に関しても検討を行う事が課題として残っている。
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