研究概要 |
2次元乱流における基本的な物理量のエンストロフィーの時間発展(減衰則)に関する理論的・数値実験的研究を行った.主要な結果は以下のとおりである. 1.Chasnov(1997)やDas, et. al.(2001)の数値実験によって得られたエンストロフィー減衰則を導く2つの自己相似理論,Chasnov and Herring(1998)とIwayama and Shepherd(2006)との比較を行った。後者の理論のほうが機々な粘性の型を持った系や一般化された2次元流体系(α乱流系)への応用が単純である,という点で優位性がある.実際に,α乱流系の自己相似理論を提出し,この系におけるエンストロフィー減衰則を導いた. 2.Iwayama and Shepherd理論やChasnov and Herring理論で仮定された自己相似仮説が実際に成り立つかどうかを2次元Navier-Stokes方程式やα乱流方程式の直接数値実験を行うことによって調べた.その結果,自己相似仮説はある特定の初期レイノルズ数や粘性の型の場合にのみ存在し,一般的に言って普遍的に存在するものではないことを示した.さらに,Chasnov(1997)やDas, et. al.(2001)で主張している高レイノルズ数極限でのエンストロフィー減衰則は,中程度のレイノルズ数の減衰則であることを示した. 2次元流体系に関して以下のような新たな研究課題を創始することも試みた. 1.一般化された2次元乱流における波数空間内の相互作用の非局所性 2.一般化された2次元流体における流れの安定性 3.円形渦によって駆動されるエクマンパンピング
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