研究概要 |
国際熱核融合実験炉の第一壁構成材に決定しているベリリウム,同じくダイバータに採用されるタングステンおよび、通常の核融合プラズマ装置において第一壁のホウ素化に使用されるホウ素,次世代の核融合炉において重要な役割を期待されるステンレス合金構成元素である鉄とニッケルから発生する高Z不純物イオンが核融合プラズマ中で及ぼす作用を検討するための電荷変換断面積の絶対値測定ならびに、学術雑誌に発表された電荷変換断面積の収集とデータベース構築を実施した。測定においては、衝突エネルギー0.5〜32keVでのタングステン1価正イオン,ニッケル1価2価正イオン,鉄1価正イオン,ホウ素1価2価正イオンならびにベリリウム1価2価正イオンの、各種希ガスならびに分子ガス(He, Ne, Ar, Kr, H2, CO, CO2, N2, CH4, C2H6, C3H8)に対する電荷変換(1電子捕獲ならびに2電子捕獲)全断面積を絶対値測定した。電荷変換断面積データ公開サニーバ構築に関しては、平成18年9月よりデータベースを公開し、逐次2004〜2006年に学術雑誌に発表された電荷変換断面積の実験測定値の衝突系,エネルギー,断面積と測定誤差および実験手法を、論文書誌情報(題名,掲載誌,巻号頁,著者,著者所属)ならびにコメントと共に収録した。現在、486衝突系に関する1766レコードに及ぶ電荷変換断面積を公開中である。断面積測定に関して、論文1編が発表済、1編が投稿済(平成20年3月)であり、今後さらに2編の論文を投稿する予定である。また断面積測定およびデータベースに関し、平成19,20両年で計4つの国際会議・ワークショップで発表を行った。平成19年7月の国際会議にて、国際原子力機関(IAEA)からの出席者と協議し、本データベースを平成20年にIAEAのGenie統合インターネットサーチエンジンシステムに組み込むことで合意しており、平成20年6月に最初の作業のための会合をウィーンで開催する。
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