研究課題/領域番号 |
18550088
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
合成化学
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊藤 肇 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (90282300)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
4,120千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 420千円)
2007年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2006年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
|
キーワード | 有機化学 / 金(I)錯体 / 不斉合成 / シリル化 / 環境調和型触媒 / 合成化学 / 環境技術 / 金触媒 |
研究概要 |
光学活性化合物の効率のよい合成は重要な課題である。加えて最近では、資源の有効利用や廃棄物の低減につながる新しい合成反応の重要性が高まっている。本研究では、光学活性金(1)錯体触媒を用いた脱水素シリル化による速度論的光学分割という新しい手法で、光学活性化合物を効率よく合成し、かつ廃棄物が少ない方法の開発を検討した。その結果、光学活性金錯体触媒を用いたアルコールのヒドロシランによる脱水素シリル化反応において、不斉誘起が起こることを初めて明らかにした。 まず予備的実験として、Xantphosタイプの配位子を数種類合成し、金(1)錯体を作成してその触媒活性の比較を行った。次に、各種光学活性ホスフィン配位子を用いて速度論的光学分割を検討した。 金属ヒドリドは、合成反応剤や、触媒反応中間体としてよく知られており、様々な金属に対応する金属ヒドリドが合成されている。しかし、この触媒反応の重要な反応中間体として予想されていた金ヒドリド錯体はこれまで合成、単離された例がなく、その構造や性質については長らく未知であった。この金錯体触媒による光学活性化合物の合成研究を進展させていく中で、この脱水素シリル化反応において、金-ヒドリド錯体が反応中間体として実際に生じることを見いだし、このNMRスペクトル観察、Mass spectrometry測定を行い、構造解析に成功した。本研究は、金錯体の不斉合成への利用という応用面と、これまでに未知の化学種であった金ヒドリド錯体の合成という二つの成果を得た。今後、この二つを組み合わせることにより、光学活性金ヒドリド錯体の合成と、これを利用して高い不斉収率を与える触媒反応の開発への足がかりが得られた。
|