研究概要 |
種々のフェノキシ基を有するタンタルおよびニオブ錯体を系統的に合成し、それらに有機アルミニウムを加えた触媒系の開環メタセシス重合(ROMP)に対する触媒挙動を検討した。 フェノキシタンタル錯体(2,6-R_2C_6H_3O)TaCl_4(R=H,Me,iPr,Ph)は、助触媒としてiBu_3AlやOct_3Alを用いることによりノルボルネン(NBE)のROMPに対して高い活性を示すことを見出した.触媒活性はフェノキシ配位子上の2,6-位の置換基がH>Me>iPr>Phの順となり,配位子がかさ高くなるにつれて低下した.一方、ニオブ錯体(2,6-R_2C_6H_3O)NbCl_4は,助触媒にMe_3Alを用いた場合に極めて高い活性を示し,300当量のNBEを1分で重合し,分子量数10万以上の高分子量ポリマーを与えることを見出した.ニオブ系では2,6-位の置換基がPh>iPr>Me>Hの順に高活性となり,配位子がかさ高くなるにつれて活性が上昇した.また、本触媒系はジシクロペンタジエン(DCPD)の重合に対しても高活性を示し、可溶性の高分子量ポリマーを与えた。 さらに、hinokitiolato,biphenolato,およびbinaphtholatoなどのキレートフェノキシ配位子を導入した5族遷移金属錯体のNBEのROMP触媒挙動を検討した。単座フェノキシ錯体系と比較するとやや低活性であったが、これらの錯体も比較的高いNBE重合触媒活性を示した。 これらの触媒系は,現在までに報告されているタンタルやニオブを中心金属とするROMP触媒系では最も高活性である。ROMP触媒として広く用いられている6族遷移金属タングステンやモリブデン触媒系と比較しても同等以上の活であり、新しい高活性ROMP触媒系の開発に成功したといえる。
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