研究概要 |
メチル-α-D-グルコシド及びヒドロキシプロピル化スクロースと環状エステル(ε-カプロラクトン,L-ラクチド)の混合物に,それらの中での反応中に完全層剥離する有機化クレイ2〜5wt%量を分散させ,反応させてナノ化ポリオールを得た.それらからポリウレタン発泡体を調製し,密度測定,圧縮試験,DMA(圧縮モード)測定などの特性化を行った.クレイのナノ分散により発泡体の強度,弾性率,特に低温特性が向上するなど多くの物性向上が認められたが,耐候性の低下も認められた.例えば,限界密度値がクレイが入ることにより大きくなった.これらの小糖類での検討からヒントが得られ,木粉などリグノセルロースのポリオール液化法及びフェノール液化法について画期的改良をなし得た.得られた木材液化物とクレイとのナノ化複合材料の合成と生成物の発現する機能について検討した.クレイがナノ分散していることはX線回折及び粘度特性の増大から知られた.調製したポリウレタン発泡体のDMA測定からクレイを添加することにより剛性,耐熱性の向上が再び認められ,またSEM観察からセルのサイズが均一になるという傾向が知られた.それら液化物に単純に分散させるだけでも,クレイ種によっては完全層剥離が起こり,ナノコンポジットを調製しうること,その中には合成ヘクトライトのように非有機化クレイも入ることが知られた.DSC測定から,クレイを加えることにより,より低温での架橋反応が促進されること,またその効果はクレイの分散性が高いほど顕著であることなども知られた.クレイのナノ添加により製品の物性を向上できること,用いた反応を触媒すること,条件によっては製品の劣化反応をも触媒することが知られた.
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