研究概要 |
1.共蒸着による有機-無機ナノハイブリッドの作製とナノハイブリッドにおけるelectrophosphorescence 1)有機半導体4,4'-N,N'-ジカルバゾールジフェニル(CBP)とEuI_2,CeI_3,CeBr_3,CeF_3,TbI_3,PbI_2とを重量比2:1で二元共蒸着することにより、均質な薄膜をえることができた。これらの薄膜の電子顕微鏡観察から、CBPを媒体として半径数nm〜数十nmの金属ハライド微粒子が分散した有機-無機ナノハイブリッドが形成されていることが明らかとなった。 2)いずれのナノハイブリッド薄膜においても、CBPからの蛍光が観測されCBPからのりん光や無機ナノ粒子からの発光は観測されなかった。 3)有機-無機ナノハイブリッド薄膜を発光層として有機肌素子を作製した。いずれの素子においてもCBPのりん光発光(electrophosphorescence)が観測された。 2.Electrophosphorescenceの発光機構 ホール輸送性および電子輸送性の有機半導体を用い、CeF3との6種の有機-ナノハイブリッドを作製した。 1)光励起の場合、いずれのナノハイブリッドも有機物の蛍光を示した。 2)肌素子とした場合、ホール輸送性の有機物を用いた場合には有機物のりん光発光が観測された。これに対して、電子輸送性の有機物からの発光は観測されず、CeF_3からの発光が観測された。 以上の結果より、f軌道に電子を一つ持つC^<3+>はその電子を放出して閉殻構造をつくりC^<4+>になりやすい。このC^<4+>はさらに電子を捕獲してC^<3+*>となる。ホール輸送性の有機物はこのC^<3+*>とデクスタータイプのエネルギー移動を起こし、励起三重項状態が生成されりん光が観測されたものと考えられる。これに対して、イオン化ポテンシャルの大きな電子輸送性の有機物ではこのエネルギー移動が起こらず、CeF_3からの発光が観測されたものと考えられる。
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