研究概要 |
二元酸化物を原料とした固相反応法により希土類添加デラフォサイト酸化物CuR_xY_<1-x>O_2及びCuR_xLa_<1-x>O_2(R:Eu,Tb,Tm)を作製した。格子定数αが希土類R添加量x対して線形変化したこと,無添加試料で観測されたCu^+局在中心内遷移によるブロードな発光帯が消失してR^<3+>のf-f遷移発光線が出現したことから,添加希土類RのY及びLaサイト置換を示唆している。以上の事実から,希土類添加によるデラフォサイト酸化物の発光色制御が可能であることが初めて明らかになった。高濃度添加領域では濃度消光が生じた。CuCa_yY_<1-y>O_2ではCa添加濃度に伴ったp形導電性向上が観られたが,CuCa_yLa_<1-y>O_2及びCuSr_yLa_<1-y>O_2ではp形導電性向上は観られなかった。希土類とCaを共添加したCuR_xCa_yY_<1-x-y>O_2において,添加希土類のf-f遷移発光の出現と共にCa添加濃度に対応したp形導電率向上が観られた。この事実から,CuYO_2においてはY^<3+>サイトに希土類Eu,TbまたはTmとCaを同時添加による発光特性と電気的特性の同時制御の可能性が初めて明らかになった。大面積デバイス作製の観点から興味深い硝酸金属原料を用いた溶液法を初めて用いてCuYO_2,CuTb_xY_<1-x>O_2及びCuEu_xY_<1-x>O_2の薄膜作製を試みた。わずかな異相の混在が観られたが,格子定数および発光特性は固相反応法によるバルク多結晶のデータとよく対応していた。これらの事実から,硝酸金属原料を用いた溶液法が無添加及び希土類添加デラフォサイト酸化物の薄膜作製に有用であることが明かになった。
|