研究概要 |
波長300nm以下の深紫外光デバイスでは高AINモル分率のAl_xGa_<1-x>Nが望まれ,またデバイスの高品質化のためには低転位密度なものが求められる。下地に低転位密度GaNを用いてAl_xGa_<1-x>Nを成長させると,Al_xGa_<1-x>Nのモル分率が高くなるにつれてGaNとAl_xGa_<1-x>Nの格子不整合によりクラックが発生する。そのクラック抑制のための方法としては,下地エピタキシャルAlNを用いAl_xGa_<1-x>N(0.2<x<0.8)を成長させる技術が報告されているが,高AlNモル分率(x>0.5)のAl_xGa_<1-x>Nでは下地からの貫通転位が増大し,その転位密度は10^9cm^<-2>台後半であった。低転位密度を有するAlN基板の開発が急がれるが,転位低減技術であるELO法はAl系III族窒化物半導体において,Alが活性な元素でSiO_2等のマスクと反応するため,マスクによる選択成長が困難である。本研究では,「低転位密度を有する下地基板の作製」と「クラックの抑制」という2つの問題を解決するため,AlN基板上に選択成長法(Selective Area growth, SAG)を用いて(11-20)面を有する低転位密度GaNを作製し,それを下地としてAl_xGa_<1-x>Nの成長を行った。 選択成長法を用いて(11-20)面を持ったGaNの作製し,そのGaN上にAlGaNを成長させることによって,低転位密度AlGaNの作製を行った。反射光モニタリングを用いることで,GaNの選択成長を精密に制御することを試みた。得られたAlGaNには,クラックはなく,そのAlNモル分率は0.51であった。表面CL像から,AlGaNの転位密度は1-3×10^8cm^<-2>であった。 本研究では,(11-20)面を持ったGaN選択成長結晶を下地基板に用いる新たなAlGaNの転位密度低減に技術を提案し,その有効性を実証した。
|