研究概要 |
光コンピュータシステムの確立は光エレクトロニクス分野の発展とって望まれている。空間光変調パネルはこれらのシステムのキーデバイスになるであろう。我々は,高速動作,高い消光比,高密度集積可能という特徴を持った光透過タイプの半導体光空間変調パネルを提案し,その開発を行ってきた。2006〜2007年におけるこの研究では,1)光変調画素の高速化,2)消費電力の低減,3)挿入損の低減,4)光入力信号による光演算の実現,5)空間光変調パネルの実現とピクセルの大規模集積化(1000×1000)などの目標について研究を行ない,以下の結果が得られた。 1.高速化:光変調画素の寸法を60×60μm^2まで小型化することで画素の電気容量を小さくし,動作速度は120MHzまで高速化できた。 2.消費電力の低減:画素構造中の半導体不純物濃度を最適化した。その結果,画素の消費電力は従来の1/10まで低減され,0.1mWとなった。 3.挿入損の低減:AlGaAs材料を使って画素中の吸収損を低減することによって挿入損を4dBに低減した。(従来素子の挿入損10dB) 4.光信号による光論理演算の実現:ヘテロパイポーラ光トランジスタと上記光変調画素を集積化し,光入力信号を使って光出力強度をコントロールできる光反転動作が実現された。 5.光変調パネルの実現:6行7列の光変調パネルを作製し、文字画像の光出力できることを実証した。なお、1000×1000の大規模集積化の実現するまでには至らなかったが、微細加工技術及びプロセス技術の改善や多数の画素への電気配線の方法などを検討し,大規模集積化に向けての基礎技術を開発した。
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