研究概要 |
セル構造体とは,セルの陵および面を構成する緻密固体(母材)の支柱またはセル壁を相互に結合したネットワークからなる固体であるが,母材とは大きく異なる性質を有する興味ある物質である.本研究は,代表的なセル構造体であるアルミニウムハニカムの動的特性を広範かつ詳細に研究し,その工学的特性を把握するとともに,更に高性能な構造体設計の指針を得ることを目的とし,2年間の研究課題としたものである. 平成18年〜19年度において,アルミニウムハニカムの面内負荷特性を対象として,特性静的圧縮変形ならびに衝撃圧縮変形について実験的研究と数値シミュレーションを実施した.実験においては,新しく製作した圧縮実験装置,高速度ビデオカメラならびにこの経費で購入したレーザー速度計測装置等を用いた.また,解析的には,セルスケールとマクロスケールと呼ぶ2つのスケールを新しく導入し,個々のセルのひずみ変形とハニカム全体のひずみ変形との関係を詳細に調べ,多くの興味ある結果を得た.また,アルミニウムハニカムの面内変形が軽負荷で大きなひずみを許容することを利用して緩やかな緩衝特性を持つソフトバンパーへの応用を目的として衝撃圧縮時のエネルギー吸収特性を調べた.さらに,ハニカムの弾塑性効果と非線形効果を調べるために強制振動現象を調べ,1次元連続体近似による解析と対比して興味ある結果を得た.
|