研究概要 |
20世紀に建造された大量の大型鉄鋼構造物は,21世紀を迎えて老朽化設備となりつつある.昨今の構造的な経済不況もあり,老朽化設備の新規更新は極めて難しい.また,原子力発電所などにおいては,廃炉時に発生する大量の産業廃棄物処理が問題である.21世紀においては,老朽化設備を上手くメンテナンスして使い続けることが要求されている.これらの機器の安全性・健全性評価において,金属疲労は極めて重要である.特に,超高サイクル疲労現象は,近年明らかになってきた問題であり,破壊機構の解明や防止対策に関する研究は緒に就いたばかりである. 本研究の目的は,独自に開発した低温領域を試験可能な超音波疲労試験機を用いて,広範な材料系を評価対象とできる超音波疲労試験方法を確立するとともに,内部破壊の検出方法をアコースティック・エミッション(AE)法に基づき開発することである.前者については試験機の整備を完了し,オーステナイト系ステンレス鋼の実験結果が得られた.広範な材料系に対する評価は今後の課題である.後者は極めて困難な技術であり,現在のところ達成できていない.しかし,本研究で開発した光ファイバーセンサーを使ったAE検出技術は,疲労以外の対象に対して有効に利用できた.この研究では,発電所の配管の閉塞AEを検出した,これらの研究に加えて,発生した疲労き裂が最終破壊するまでのき裂進展過程をモニターすることは重要な技術であることから,疲労き裂進展に関する研究を当初の計画に加えて行った.
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