研究概要 |
1.加振装置の開発 ボルト締めランジュバン振動子および積層セラミックアクチュエータを用いた加振方式を開発した。積層セラミックアクチュエータは加振周波数の変更が可能である。 2.有限要素解析による最適振動数の解析 超音波加振の振動数を変化させて,締め付けシミュレーションを行い,締め付け過程においてネジ頭と座面の間に隙間が発生する条件を見出した。その振動数は,70kHz近辺であった。この振動数は,現在使用しているランジュバン振動子では発生できないので,次年度に,高周波タイプのランジュバン振動子に組み替えて実験を行うこととした。 3.実験結果 油潤滑状態で,無加振と超音波加振のそれぞれ50本の試験を行った。締め付けトルク幅は5%以下とした。無加振条件で締め付け試験を行ったところ,締め付け軸力の平均値は5229N,標準偏差454Nを得た。一方,超音波加振の結果は,締め付け軸力の平均値は5052N,標準偏差373Nを得た。したがって,標準偏差を平均値で割った変動係数の値は,無加振では0.87となり,加振では0.74となった。この結果から,超音波加振によって,約15%の軸力の変動を低減させる効果が発生したことが確認できた。 4.今後の計画 加振強度の増加は軸力の安定化を促進させると考えられることから,加振用の積層セラミックアクチュエータを締め付け軸に直列に入れる改造を行う。この改造によって,加振強度の増加と装置のさらなる小型が可能になり,実用化に弾みがつくものと考えられる。現時点でのデータで,現在,日本機械学会に投稿準備中である。
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