研究概要 |
本研究は,ミクロンオーダの液微粒子を大量に生成する方法として,キャビテーションの発生を能動的に制御し,それによって液流内に乱れを発生させ,乱れた液流に気流を衝突させる新しい気流微粒化法を開発することを目的としている。まず初めに,良好な噴霧特性を得るための最適なキャビテーションの性状を明らかにした。次に,この最適なキャビテーションを発生させるための制御方法を開発し,操作条件を変えながらその適用範囲を明らかにした。さらに新しく開発したキャビテーションの能動的制御方法を用いた気流微粒化法を開発し,その噴霧特性を調べた。その結果,以下の研究成果を得た。 まず,背圧が低いほど,レイノルズ数が高いほどキャビテーションは発生しやすく,流れの形態はキャビテーション数のみで分類できる。キャビテーション流れの形態は,キャビテーション数が減少するにつれて,平滑流れ,クラウドキャビテーション流れ,シートキャビテーション流れ,ハイドロリックフリップへと変化する。微粒化用ガス速度が小さい条件では,噴霧特性に対してキャビテーション流れの影響が大きく現れ,シートキャビテーションが発生する条件では噴霧特性が大幅に向上し,ハイドロリックフリップが発生する条件では大幅に悪化する。また,微粒化用ガス速度が大きい条件では,生成する噴霧のザウター平均粒径に対するキャビテーション流れの影響は小さくなり,微粒化用ガス速度の影響が支配的となる。 微粒化用空気速度を300m/s以上にすると,平均粒径が20ミクロン以下になった。このことから,液噴流への微粒化用空気の衝突方法を工夫することによって,噴霧粒子径をさらに小さくすることが可能であることが分かった。以上の実験結果により,ノズルを設計する際の定性的な指針を得ることができた。
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