研究概要 |
サンドエロージョンは,流体中に含まれる微小な固体粒子が壁面に衝突することによって壁面に機械的損傷を与える現象であり,各種流体機械にとって致命的な事故原因となっている.航空用ガスタービン(ジェットエンジン)では,型式承認時に安全性確認のための砂吸い込み試験が課され,一定量の砂を吸い込んでもエンジンが健全に稼動することを実証しなければならない.本研究は,航空用ガスタービンの圧縮機動静翼干渉場における3次元サンドエロージョン現象を再現し,その発生原因・物理的メカニズムを数値的に明らかにすることを目的としたものである. 平成18年度 平成18年度は現有コードの動静翼干渉場に対する改良と検証を実施した.まず,平成17年度までに開発したコードの3次元化および回転座標系への拡張を行った.開発されたコードは,サンドエロージョンを考慮しない通常の動静翼干渉場に適用され,その妥当性が確認された.また,サンドエロージョンに関する予測性能を検証するため,矩形断面をもつ90度ダクトの数値計算を実施し,サンドエロージョンの時間的進行過程が良好に再現できることが確かめられた. 平成19年度 平成19年度は,開発したコードを用い、パラメータ・スタディによる現象解明を実施した.本研究により,タービン動静翼干渉場において,ジェットエンジンに吸い込まれた粒子はまず動翼の前縁付近に衝突し,反射した後,動翼の負圧面に再衝突し,遠心力効果により翼先端(ケーシング)方向へ吹き寄せられ,静翼の前縁付近へ衝突して行くという粒子軌道を取ることが明らかとなった.また,衝突時の運動エネルギーが大きい最初の衝突の際に激しいエロージョンを起こすため,動翼前縁付近の機械的損傷がもっとも顕著であり,次いで,多くの粒子が吹き寄せられる動翼後縁付近ケーシング側のエロージョンが激しくなることが明らかとなった
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