研究概要 |
液中に2.45GHzのマイクロ波と27.12MHzの高周波をそれぞれ照射してプラズマを発生させ,液中プラズマの温度測定を実施し,その特性を調べた.水中でプラズマを発生させた結果,プラズマの電子温度は,圧力400hPaから大気圧の範囲内では,高周波プラズマでは5000〜4000K,マイクロ波では4000K〜3000Kであった.水中マイクロ波プラズマでは,水温上昇にエネルギの一部は消費される.液中プラズマは液中の気泡内に気相プラズマが発生する現象であり,気泡の膨張・収縮の運動がプラズマ内部温度に大きな液用を及ぼす.水中プラズマの放電形態は,電極間距離と電圧により変化し,気相プラズマで観察される針電極からのコロナ放電の様式に似ていることが明らかになった.水素スペクトルの半値幅からプラズマの電子密度を見積もった結果,高周波(27.12MHz)では,(6.0±2.0)×10^<14>cm^<-3>,マイクロ波(2.45GHz)では(7.2±2.0)×10^<14>cm^<-3>を得た.また,気体温度として, OH温度を見積もった結果,OHの回転温度が約3000Kであることが明らかになった.液中では,液体の気化によって気泡内部の熱が奪われた結果,電子温度とガス温度が一致しない非平衡状態が大気圧近くでも維持される.数値解析から,気泡内温度は活性化エネルギの与え方によって異なるものの,数千Kに達することが明らかになった.このプラズマを有機溶媒中で利用すれば,燃料ガスの生成や多孔質シリコンカーバイド,カーボンナナチューブなどの合成が可能である.最後に,27.12MHzを用いた超臨界二酸化炭素プラズマについての分光計測を行い,プラズマの発光種を特定し,プラズマ温度を求めた.その結果,超臨界プラズマの回転温度,振動温度を4000K〜5000Kと導出した.また超臨界プラズマ中で,三酸化タングステンナノワイヤーが生成できることを示した.
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