研究概要 |
本研究課題は,四輪独立アクティブ操舵車両におけるタイヤ力配分のMinimax最適化について,操舵と制駆動力配分の相補性な活用を検討対象としている.二層構造の制御系を前提としており,上流側は目標運動に必要な制駆動力と横力,ヨーモーメントを出力するアクティブ操舵車両のための一般的な車両制御器であり,下流側では,タイヤ力配分の静的の凸計画問題がサンプル周期ごとに反復して解かれ,各輪の舵角と制駆動力の指令値が決まる.操舵と制駆動力配分の相補性は,両者による寄与の和としてヨーモーメントが発生することを反映しており,もとより制駆動力配分の有効性はこのような相補性に強く関連しているが,操舵と制駆動力配分の間で最適に負荷配分しようとする考え方は割合に最近になって認識されるようになった.昨年度の研究計画に引き続き,本年度は路面摩擦係数の推定について検討した.基本的なタイヤ力配分手法は昨年度の計画により得られたが,路面摩擦係数が均等と仮定したときのタイヤ負荷の最適配分のため,μスプリット路に代表される滑りやすさが不均等な路面については,滑りやすい側にタイヤカを配分しすぎない工夫が必要であった.路面摩擦係数が推定できれば,いままでの負荷配分の代わりに摩擦係数に応じてタイヤカを配分することで目的は達成される.そこで,本年度はブラシモデルによる路面摩擦係数の推定について検討して,新たな推定式を導出した.この過程でブラシモデルに関する先行研究の結果に改良を加えることもできた.この方法をSimulinkのブロックとして実装し,数値シミュレーションにより検証を行い,非線形タイヤモデルとの比較により,所定の推定精度が得られることを確認した.
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