研究概要 |
本研究では,重心位置のバランスを調整し,足裏部へ刺激を与えるための中敷き用要素として,スポンジ・コア・ソフトラバーアクチュエータ(Sponge-Core-Soft Rubber Actuator以下,SCSRAとする)を用いた高機能靴を提案した.SCSRAは,発泡ゴムの外側をシリコンゴムでコーティングすることにより,空気を充填することが可能な構造を持つアクチュエータである。また,内部の発泡ゴムの密度や構造により,無加圧時あるいは圧力印加時における剛性が変化するという特徴を有する,そこで,SCSRAを要素として用いた安定歩行のための中敷きを開発することを目的とし,その基礎特性を明らかにした. 具体的には,アクチュエータの要素であるSCSRAに関して,アクチュエータ内圧から外力を推定するカセンサ性能を明らかにした.さらに,試作した靴底要素の特性を明らかにするための試験装置を製作した.本装置は,足形模型がロール方向とピッチ方向に回転し,かつ上下動を実現できる3自由度を有する試験装置である.本研究では,特性試験装置を用いて,アクチュエータに外力を印加した場合における足部模型のSCSRAへの押付角度によるアクチュエータの内圧変化を測定した.歩行時における靴底の運動は,ピッチ方向とロール方向に分けることができる.そして,転倒の原因となるのは.ロール方向の運動に多く起因している.そこで,運動方向の判定として,靴底要素部の内圧測定による判定方法を検討した.その結果,要素形状と内圧変化に特定の関係があることがわかった.さらに,転倒誘発の原因となるロール方向の運動に対しのみ内圧が変化するSCSRAの最適形状を明らかにした.
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