研究概要 |
電子機器の中で電力消費の占める割合が大きいスイッチング電源回路においては,小型・高効率・安定化が特に重要である.一方,現在LSIは微細化の一途を辿っており,その中で電源回路の低電圧,大電流化への傾向は顕著である.本研究では,オンチップ電源の実現を視野に入れ,その基本技術の確立を目的とした.具体的な研究成果として,以下の三つの成果が挙げられる. 1.低電圧・大電流・高効率を達成する回路形態およびその設計手法を提案した.本手法はE級スイッチングと呼ばれる高周波数・高効率を達成するための回路設計技術と,インタリーブと呼ばれる低電圧大電流を達成するための回路構成技術を融合させることにより達成することができた. 2.上記1で提案,設計した回路において,位相制御を適用することを提案し,その特性を示した.広い範囲で高効率を達成することを示した. 3.ディジタル制御として,バックコンバータに簡易型適応制御とスライディングモード制御を適用し,その特性を明らかにした. E級スイッチングによる高周波数化の実現は,磁性素子を極めて小さくすることができるため,オンチップ電源への可能性を広げるものである.かつ,低電圧大電流・高効率化の達成は,本研究の成果がオンチップ電源のみでなく,様々な用途の電源回路の広く応用することができる.また,高度なディジタル制御の適用例を示し,その特性を明らかにしたことで,「ディジタル電源」の実現へ向けて,本研究成果が貢献することが期待される.
|