研究概要 |
直流配電システムにおける二次電池や電気二重層キャパシタなどの電力貯蔵装置への適用を想定した高効率な絶縁形フルブリッジ双方向DC/DCコンバータの基礎技術の確立を目的として,回路シミュレーションによる制御法の検討と,1kW級の小型試験回路による動作の実証と効率の評価を行った。 比較的シンプルな回路構成で大容量化に適すると考えられる,低圧側電流形コンバータと高圧側電圧形コンバータを高周波トランスで結合した絶縁フルブリッジ形の向路方式を採用し,出力をPWM制御するとともに,アクティブクランプ回路を付加することによって,転流時の過電圧抑制とソフトスイッチング動作を実現する制御法について検討した。変換器のすべての素子は,提案する制御方法によって,昇降圧双方向の電力制御においてソフトスイッチング動作が可能であることを回路シミュレーションにより確認した。 電力貯蔵装置としては,電気二重層キャパシタ(EDLC)の適用を検討した.精度の良い回路シミュレーションを行うため,3段はしご形回路によるEDLC等価回路を実測により導出した.また,端子電圧がエネルギー貯蔵量に応じて大きく変化するEDLCにおいても安定に動作する電力制御方法を回路シミュレーションによって確認した. 1kW級の小型試験回路は,電圧を想定される実機(1MW級)の1/10となる低圧側50V,高圧側200Vとして設計・製作した。スイッチング素子にはIGBTを用い,DSPとFPGAによる高速な制御を実現している。昇降圧双方向の電力制御実験において,変換器のすべての素子がソフトスイッチング動作していることを確認した。また,変換器効率は昇圧83.3%,降圧83.1%であった. 実験の損失評価の結果から1MW級の変換器に適用した場合について検討したところ,スイッチング素子の導通損失の占める割合が小さくなり,実現可能な変圧器,リアクトルの効率を考慮すると95%程度の総合効率の実現できる見通しを得た.
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