研究概要 |
本研究では,太陽光発電と風力発電を合成したハイブリッド発電を三相系統に連系するシステムを開発した。連系用インバータとしては一般に電圧形が使用されているが,本研究では系統連系に適した電流形インバータを用いた独自のシステムの構築を目指した。このために,以下の3段階に分けて研究を遂行した。 まず,風力発電のみを系統に連系するシステムを検討した。風力タービンを模擬した直流電動機で永久磁石同期発電機を駆動し,その交流出力をダイオード整流回路で直流に変換した後に,三相電流形インバータを通して三相系統に連系するシステムを構築した。風速が変動しても,インバータの変調率をそれぞれの風速における最適値に制御するだけで,その風速における最大電力を系統に供給できることを理論と実測により明らかにした。 次に太陽光発電を対象とし,パネルの設置場所の制約等により,2組の太陽電池アレイの日射量が異なっても,両者からそれぞれの最大電力を同時に出力できるシステムの開発を目指した。2組のアレイの最大電力点は異なるため,2組の昇圧チョッパを縦続接続した二段接続方式を検討し,その効果を確認した。さらにその回路構成を簡略化して部品点数を減らしても,当初の目的が達成できることを実測によって明らかにした。 最後に,風力と太陽光の両発電システムをハイブリッド化するために,両出力電圧を直流側で合成した上で電流形インバータを介して電力系統へ連系するシステムを構築した。風力も太陽光も気象条件によって出力電圧の変動が激しいため,直並列チョッパを応用したDC・DCコンバータを用いて電流形インバータの入力直流電圧を適切な範囲に調節するシステムを開発した。このコンバータの通流率と電流形インバータの変調率を制御することにより,風力発電電圧や太陽電池電圧が変動しても,インバータは安定して動作し,それぞれの最大電力を系統に出力できることを実測により確認した。
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