研究概要 |
国内の電気エネルギーの約55%はモータ負荷として使用されており,その大半はかご形誘導モータ(IM)である。近年,省エネルギーおよび環境改善の観点から,高効率三相IMが市販されるとともに,IMよりさらに高効率である永久磁石同期モータ(PMSM)が普及してきている。一方,商用周波数で始動でき,汎用高効率IMより高効率で運転できる自己始動形永久磁石同期モータ(LSPMM)が注目され,一部実用化されている。しかし,始動時の特性改善などLSPMMに対しての諸課題が極めて多数残存している。 本研究は,LSPMMの非同期始動特性を含む諸特性を簡明に算定する理論および諸定数決定法を確立し,LSPMMの特性改善方策などに対する新たな知見を与えようとする目的で,研究計画に基づき,平成18年度〜19年度に実施し,以下の実績を上げることができた。 (1)LSPMMの特性を定性的かつ定量的に解明するための解析モデルを新たに構築し,理論式の詳細を電気学会にて公表した。 (2)LSPMMの特性比較のため,三相IMの定格周波数運転時を含む定電圧高速運転時の諸損失,諸特性を実験的に詳細に検討し,電気学会およびICEMSにて公表した。 (3)LSPMMのかご形巻線および永久磁石の特性に及ぼす影響を明らかにするため,回転子を加工した試作機を製作し,実機に対する定数決定法の基礎的検討を行い,電気学会にて公表した。 (4)研究分担者は電気学会永久磁石同期機の特性算定技術調査専門委員会に参加し,LSPMMを含めたPMSMに関する研究・開発動向および規格化動向を調査し,従来のPMSMのトルクの式などをとりまとめた。
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