研究概要 |
環境対策などから系統に連系される分散電源が増大し瞬時電圧低下(瞬低)などでそれらが不適切な動作をした場合,系統に与える影響が無視できなくなっている. 本研究は,分散電源の中でも普及の進んでいる太陽光発電システムの瞬低に対する耐性および対策を検討することを目的としている。交付申請書に記載した研究実施計画に従い,インバータなどで構成された太陽光発電模擬装置等を用い電磁接触器と系統連系インバータについて実験を行ない検討した.その結果,以下の新しい知見を得ることができた. 1.電磁接触器については,瞬低発生時の系統電圧位相が電磁接触器の開極動作に大きく影響し,位相の差により瞬低発生から開極までの時間が10msから65msまで大きく変化すること,その原因が瞬低時点および瞬低後の励磁電流の振る舞いによるものであり完全に電圧が0となる瞬低より電圧が残った瞬低の方が開極時間が短いこともあることを発見しその理由を解明し改善案を検討した. 2.太陽光発電用系統連系インバータシステムについては,瞬低発生位相等を変化させた多くの実験を実施し,瞬低により瞬低開始後16ms程度で停止すること,その原因が制御に起因するものではなく,系統連系ガイドラインで求められている系統単独運転を防止するための位相跳躍検出によるインバータ停止保護によるものであるという知見を得,改善案を提案した. 以上述べた瞬低に関する新しい知見は,分散電源の瞬低に対する耐性を改善でき,再生エネルギーの最大限の利用と電力系統の安定化に有効なものである.
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