研究概要 |
地雷探査用地中レーダに要求されているのは,地表面からの応答に埋もれている地雷からの応答を抽出する信号処理技術と,地雷と地雷以外の物体を高い精度で識別するための識別能力である.本研究は,申請者がこれまで開発してきたレーダ信号処理法を拡張・改良し,信頼性と安定性に優れた地雷探査・識別のための信号処理技術を確立し,実際に高精度地雷識別器のプロトタイプを作成することを目的として行った.以下,研究成果の概要について述べる. まず,地雷の特徴抽出を精度よく行うために,レーダ信号からターゲット信号・を精度よく抽出する手法を開発し,次に,地雷内部の空洞における共振に着目した特徴を提案し,その有効性を確認した.さらに,高精度識別アルゴリズムとして,サポートベクターマシン(SVM)をベースとした手法を導入し,数値シミュレーションによって様々な環境下での識別性能について検討した.その結果,有効性が確認された.一方,識別器のプロトタイプを作成するため,アンテナセンサの設計・製作を行い,これを用いてモデル実験を行った.取得した実験データを用いてターゲットの識別を行った結果,紛らわし3種類の物体と地雷の分離が可能であることを確認した.さらに,識別器の性能の評価・検証を行うための土壌のパラメータを推定するための評価法について検討し,その精度に関して理論的に明らかにした. 以上のように,まだ検討途上の部分もあるが,今回開発した地雷探査レーダのための高精度識別法の有効性は数値シミュレーション及び実験データにより確認され,本研究の目的の主要部はほぼ達せられたと考えている.本研究で達成できなかった部分については現在継続して検討を行っている.
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