研究概要 |
医用CT画像再構成としての逐次法は,逆投影法と比較して画像の品質に関する優位性を持っているが,最終的な画像を得るには多くの繰り返し回数を必要とする.逐次法の漸化式を「離散時間非線形力学系」としてとらえたとき,力学系の安定固定点は理想画像を与える.他の逐次法よりも非線形性の強いPower Multiplicative Algebraic Reconstruction Technique(PMART)において,非線形動的特性を積極的に活用する独自のアイデアにより,処理の高速化を図ることが可能であると考えられる.本研究代表者の提案した静的及び動的拡張PMARTについて以下の項目を達成させることができた: ・本研究者の開発した計算手法を用いて固定点の定性的性質と分岐現象を詳細に解析し,固定点への収束が最も高速となるパラメータ領域を求め,実際従来の逐次法よりも短時間で再構成画像が得られることを示した. ・大きな画像サイズに対しても速度低下が生じないアルゴリズムを検討し,種々の数値実験を通して提案手法の有用性を検証した. 成果の一部を国際ジャーナルや国際会議,国内研究会等で発表した.
|