研究概要 |
本研究を遂行するために最も重要な地中電磁界観測室を,細倉金属鉱業株式会社と共同研究の形で宮城県栗原市鶯沢の細倉鉱山内部に設置した。さらに,電磁界の速い変動とゆっくりした変動の2つの変動領域における信号を観測するため,次のような装置から構成される観測システムを構築した。 1.高周波変動領域(10-100kHz帯域)における電磁界変動信号観測装置。 2.準定常変動領域における電磁界変動信号観測装置。 3.これらの各観測要素のデータを記録する高精度時刻校正付多チャンネルデータ記録装置。 この観測システムにより,平成18年度および19年度の2年間にわたり順調に観測データを得ることが出来たが,得られた主な成果は次のとおりである。 1.落雷によって発生する電磁界の観測により,従来報告されていない電磁波の表面波モードが存在している可能性が高いことを示した。 2.地中観測室空間のイオン濃度,空間電界,室内温度・湿度の長期間観測により,それぞれの要素の数時間での変化,日変化および年変化の相互関係を明らかにした。 3.大きな地震発生時および地震波伝搬時の空間電界変動信号の存在を示した。 4.岩石圧縮による岩石帯電機構を解明するための室内実験を行った。 5.理論解析に必要な精度の高いシミュレーション技法としてCIP法の研究を進め,本法の特徴を明確にするなど,この技法についての数多くの新しい知見を獲得した。
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